標高1500mの高原で始動したForest field MINENOHARA。
どんな人がやっているの?具体的にどんなことをしている?Forest field MINENOHARAを主催している、信州・峰の原高原森林サービス産業推進協議会 事務局長の野澤 健太(のざわけんた)をご紹介します!
事務局長・野澤ってどんな人?
事務局長・野澤は2022年10月に須坂市地域おこし協力隊に着任。兵庫県明石市から移住した。協力隊に着任して2ヶ月ほど経ったころ、森林活用に関する交流会をきっかけに「信州・峰の原高原森林サービス産業推進協議会※」を設立。事務局長に就任し、長野県や協力機関などと連携してプロジェクトの企画づくりからコーディネート、事業の取りまとめなどを行っている。
2023年度は森林サービス産業創出のため「Forest field MINENOHARA※」というプロジェクトを始動し、森林整備や森林空間を活用した健康系プログラム(企業研修・健康ウォーキング・森林セラピーなど)の事業化を模索するキックオフ・ラボ(研修会)を実施した。
Forest field MINENOHARA
※健康・観光・教育など様々な分野で森林空間を活用した体験サービスを提供。幼児期から老年期まで幅広い人々の健康・心の豊かさに貢献し、山村地域に新たな雇用と所得機会を生み出すサービス産業を創出することを目標としている。
安定した職と冒険したい気持ちの間で
社会人になってから会社の同期に山登りに誘われたのがきっかけですっかり山の虜になり、週末に山登りのために長野に来る機会が増えた野澤。初めてテント泊した北アルプスの涸沢カールでアルプスの魅力に取り憑かれ、山登りのため4週連続で長野に通うことも。
しかし兵庫から長野までは車で6時間以上。長野に来るたびに「長野に住んでいる人が羨ましい、自分も長野に住んでこの景色を眺めながら暮らしたい」と思うことが多くなった。
平日は職場と家を往復し、決められた仕事をこなすだけの毎日。良くも悪くも慣れが生じて、いつしか面倒ごとに巻き込まれたくないと思っている自分が嫌だった。とはいえ、安定した会社員の立場を手放す覚悟がなかなかできずにいた中、たまたま目にした須坂市地域おこし協力隊の募集。フリーミッション(決まったミッションはなく、自由にやりたいことに取り組める)という条件に惹かれすぐに応募、晴れて採用となった。
これまで山登りやキャンプを通じて自然の魅力を感じ、魅了されてきた。これは自然の良さを伝えるために景観や設備を作り、メンテナンスして頂いている方々のおかげ。次は自分がその恩返しをしたいと考えている。
景色に感動する日々、でも苦労も…
念願の移住を果たし、やってきた峰の原高原での暮らしは、アルプスを望む景色に感動する毎日。
眩しい新緑、鮮やかな紅葉、そして白銀の雪景色と、四季折々の景色が素晴らしい。元々人混みが苦手で、ポツンと一軒家のような暮らしに憧れていたけれども、完全に1人は寂しいと気づいたのは自分でも意外だったという。「ここに来ればだいたい知っている人が誰かいるからうれしい」という、cafebar CHICHIPI(カフェバル チチピ)に頻繁に通っている。
絵の具を散らしたかのような紅葉
もちろん良いことだけでなく、苦労することも。
実は、峰の原高原に移住する前と比べて、雪かきや草刈り、Forest baseの片付けや清掃などの肉体労働で、体重が10kgほど減った。雪かきは放置すると雪が凸凹になりガチガチに固く重くなるので、早めの対処が鍵だと学んだ。また、自然の中なので虫が多い。春はカメムシ、夏はアリ、秋はカマドウマが主に発生。現在Forest baseのとなりのシーダーハウスで寝泊まりしているが、虫との共存生活を楽しんでいる。
冬のForest baseは、例年冬になると1Fの窓が埋もれる
「いかに楽しむか」
自分が望んでいた生き方ができ始めた反面、厳しい環境に苦労したり、慣れない業務に四苦八苦して心が折れそうになったことも。それでも「いかに楽しむか」が大事だという。これは会社勤めをしていた時にはできなかったこと。会社の歯車の一部になって、心をすり減らしながら働くことがとにかく辛かった日々。
「やりたいことを、やりたい」と切望したから、須坂市の地域おこし協力隊が「フリーミッション」だったことに惹かれた。これまで仕事は「与えられるもの」だったけれども、これからは「自分が選びたい」。そして、「太く短く生きたい」。
「今」を大事に、精一杯やりたいことに取り組む。
交流施設整備と生ハム
「信州・峰の原高原森林サービス産業推進協議会」事務局長の仕事と並行して、現在拠点としている「Forest base」の整備を計画中。初めは林業など森林で働く人のための拠点として整備し、将来的には峰の原高原の自然体験のための「農家民宿&交流施設」にしたいそう。
また、菅平に比べて断然知名度が低い峰の原高原の知名度アップのために特産物を作りたい、という思いで生ハム作りに取り組んでいる。県内で峰の原と標高が同じくらい(1,500m程)の長和町・姫木平の空きペンションを活用した生ハム工房「Jambon de Himeki」を知り、そこで生ハム作りを学んでいる。
ペンションには既に厨房設備があり、部屋も複数あるため熟成庫の確保にも困らない。あとはスライサーや真空パックの機器さえあれば始められるので、初期費用を抑えられるため空きペンションの活用と相性が良いという。
お隣・上田市から調達した骨つきの豚肉を使用し、現在試作品を熟成中。実は生ハムにはイノシシがより適しているそう。豚よりもさらに美味だけれども、野生動物なので安定供給が難しいこと、何を食べていたかによって味わいが変わってしまい、品質を安定させることが難しいことから、一般的には豚で作られているそうだ。
「ペンション きら星」の2代目で、ジビエの狩猟も行っている湊 廣輝(みなと ひろき)さんと協力して、イノシシ肉の安定供給化に取り組んでいる。そのうち生ハムとして味わえる時が来るかもしれない。
湊 廣輝さんの紹介はこちら!
峰の原高原で自然体験を一緒にしませんか?
「森の恵みを活かした多様な仕事を創り出すこと。森と関わり合いながら、豊かな暮らしを創ること。さらに森林•景観を末永く守り育てること。それらを目標にかかげ、走り出しています。
リモートワークや副業が一般的になり、多様な働き方ができるようになった今、移住や二拠点居住を含めた関係人口を増やしたいと考えています。一緒に森で活動する方、大歓迎です!まずは一度峰の原に遊びにきてくださいね。お待ちしています!」