峰の原な人々

木と光で綴る、手作りの温もりにあふれる高原のログハウスでの暮らし

峰の原高原のメイン通りを進み、車から降りると、他とは異なる静寂に包まれた山の景色が広がります。
そんな峰の原高原の一角に、素敵な平屋のログハウスが建っています。

ここにご夫婦でお住まいの萬谷さん。なんと、このログハウスをご自身で組み立てたそうです。さらに自然の木を使った作品づくりや夏限定カフェなど、なにやら峰の原高原での暮らしをとても楽しんでいるようなので、今回インタビューをさせていただきました。

ログハウスは自力で組み立て!?

萬谷さんは北海道の出身で、約30年前に東京から移住しました。当時は、会社勤めをしながらこのログハウスを建て始めたそうです。

「ログハウスを建て始めたのは40歳の時でした基礎や屋根の施工は専門業者に依頼しましたが、妻と2人で組み立てました。30年ほど前はログハウスブームで、取り扱う業者がたくさんいたんですよ。アメリカの業者で丸太を組み立て式に加工してくれるところを見つけ、そこに決めました。設計も、自宅用として自分で行いました。」

「自宅用なので部屋の間仕切りがあると考えると、丸太で組むとかなり圧迫感が出ることがわかったんです。ひとつの部屋で40人くらい入るようなアメリカの大きな別荘だったらいいんですけどね。自分の自宅用には材をカットして組んでいく方がいいなと。」

ログハウスというと丸太のイメージだったのですが、木目がよく見えるこのデザインも木のぬくもりを感じます。

レッドシーダーという外国産の針葉樹。軽くて、割れが少なく丈夫だそうです。

「私北海道育ちで冬の厳しさを知ってるので、配管は1本も外に設置していません。そうしないと、冬に寒さで破裂してしまうからね。」

これは峰の原高原のように極端に冷え込むエリアで住むときに、大事なポイントですね💡

薪ストーブとの温かな生活

「薪ストーブ表面の縦に入っている線が表面積を多くして、あたたかさを効率的に空気に伝えるようになっているんです。トナカイのデザインも気に入って購入しました。」

これ1台で家中ぽかぽかになるそうです。薪ストーブ特有のじんわりしたあたたかさがとても心地よいですね。

お家の外の薪棚には、薪がたくさん!

「薪の調達は、あちこちの近所の方が声かけてくれるんで、その度に取りに行きます。だから軽トラックがないとダメなんですよ。この量は長野市に住む息子宅とで、1.5年分くらいかな。」

「薪としてはりんごの木が一番いいね。前はりんご農家さんが剪定したり老木で切ってしまう木をもらっていたけど、最近はりんごの木が人気になってしまって今はなかなか手に入らないんだ。」

自然とのつながりはアート作品にも

萬谷さんの創作は家にとどまらず、木工とステンドグラスを組み合わせた独創的な作品づくりも。

「たまたま、ずっと木工をやってたんですよ。東京に住んでいた頃はテーブルとか椅子とか、いろいろなものを作っていました。東京では、木はすでに加工された素材しか手に入らないんです。原木なんてなくて、あっても値段が5千円とか1万円とか値段がしちゃう。でも長野県に来たら、そういう個性的な素材がたくさんありますよね。」

なぜテーブルや椅子ではない作品づくりをしようと思ったのですか?

「ザックにテント、生活用品全部入れて、ほとんど宿泊施設を利用しないで世界中を旅をするバックパッキングって知っていますか?独身の時、アンカレッジからフェアバンクスまでアラスカ鉄道に乗っていた時、車窓から下を見たら川が流れていて、ちょうど朽ちたトーテムポールが1本だけ転がっていたんです。それがなんだか頭から離れなくて、旅から帰ってきてからトーテムボールを木で創作しました。すごく硬いケヤキで作ったので大変だったんですけど。」

まさに旅から得たインスピレーションですね!

「作ったトーテムポールは、そのままだと面白くないと思ってシェードをつけたのが、ステンドグラスと木を組み合わせるというアイディアのはじまり。どれも人に習ったわけじゃなくて、自分であれこれ考えてつくっています。他の人と同じことはやりたくないのね。本当の無垢の木から作るのですごい時間かかっちゃうんですけど。でも自分の世界に入っちゃったら、時間の概念がなくなっちゃうんだ。」

峰の原高原に入ると、とても静か。それが良いと、ここを選んで移り住む人も。

この静かな空間が、創作活動にもとても向いているんだなぁと感じました。

作品がつなぐ人と空間

さらにご夫妻は夏のシーズンだけ鈴蘭館という宿泊施設で「POLAR BEAR CAFE」カフェをひらいています。

「例年カフェは7月~9月の夏のシーズンに営業しています。以前、スキーのオフシーズンにはこのスペースは何も使っていなくて、夏だけ閉館になってたんですよ。鈴蘭館の社長さんが知り合いで、夏も人が立ち寄れるようにしたいとのことで、この場所を借りてカフェをやってみたのがきっかけです。」

「私の作った木とステンドグラスの作品もカフェに置いています。購入もできますので、お気軽にどうぞ。購入してくれた方が近くに住んでいて、その方の友人がまた見にきてくれたりもしています。」

「インターネットを通して作品を売ってみたらと言われることがありますが、顔が見える中で、本当に欲しい人が買ってもらった方がいいなと。一作品一作品手作りなので、やっぱり本当に欲しいなっていう方に購入してもらいたい。実際見ないとね。特にステンドグラスは、昼間見るのと夜見るのでは全然違うでしょ。」

スキーと旅の人生

板単スキーと、昔のニセコのレアなバッジ!

4歳の頃からスキーをやっている萬谷さん。お部屋には竹でできた昔の貴重なスノーシューやスキー板も!当時スキーブーツはまだなかったので、長靴に板を固定し、”山スキー”といって滑っていたそう。(今でいうバックカントリー)

こうして20代は一年中スキーをしていたとのこと。すごい!

峰の原高原の静けさの中で、創作活動に没頭する萬谷さん。その生活は、自然との調和、そして人々との温かなつながりを大切にしています。

夏になったら、是非「POLAR BEAR CAFE」を訪れ、その手作りの温もりを体感してみてはいかがでしょうか。

「POLAR BEAR CAFE
長野県上田市菅平高原1223
090-5561-8615
カフェ営業時間:11:00~17:00
営業期間:7月~9月(日程の詳細はお問い合わせ下さい)
定休日:水曜(不定休あり)

関連記事

TOP