森をつくる

自然を通して自分と向き合う。ペンションふくながオーナー 福永 一美さん

「環境問題、関心はあるけどどうしたらよいのかわからない」
「自然を通して、自分の暮らしを見直したい」
日々ニュースを見たり暮らしている中で、こんなもやもや、感じたことはないでしょうか?

峰の原高原のおかあさん的存在、ペンションふくながのオーナーである福永 一美(ふくなが かずみ)さんと山野草公園の中を歩きながらお話ししたら、なんだかヒントをもらえたような気がしました。

四季に応じて、多様な自然とのかかわりが持てる峰の原高原。
50年前、ここにペンション村ができ、最初の移住世代としてこの地に移り住んだ福永さん。山野草保護、遊歩道整備の活動を行っている「Mine」という活動の代表でもあります。

信州須坂 峰の原高原 MiNe
マインとは、峰の原高原の自然や景観を守っていくために結成された、地域づくりネットワークです。

峰の原高原のこと、自然へ向けてきたまなざしを聞いてみました。

人の営みによってこんなにも自然が変化する!?峰の原高原にしかない風景

「今はたくさんの木があるけれど、昔は生活のための草刈場として利用されていた草原でした。このエリアにある紅葉が綺麗なもみじなどの木は、昔の人が景観のために植えたものです。向かいの梯子山も植林をして、今見えているような森が出来上がったんだよ。」

今は森が広がっているエリアも、人の手で植えてできたんなんて…すごい!

写真奥、もみじが色づき始めています。
本来、高原エリアにはないもので、これも人の手で植えられました。

草刈りひとつにもたくさんの想いが

「ここには多くの山野草があります。峰の原と北海道にしかない植物も。草刈りは、こうした植物の種が落ちる前に刈ってしまうと、こうした山野草の草原が広がりづらくなってしまうので、リンドウの実が熟す10月20日頃以降に実施するよう工夫をしています。」

10月10日、取材時に撮影したもの。もうすこしで実になりそう!

「筑波大学と連携して、毎年7月に『草原をつくろう』というススキの草刈りイベントを開催し学生さんたちに参加してもらっています。ほかにも登山が好きな方など、”山”に関連したキーワードでいろいろな方達が集まります。」

「また、氷河期のなごりであるツキヌキソウが以前はたくさんあったのですが、木が生い茂りすぎて一時期消えてしまったことがあります。そこで許可を取り、筑波大学の先生や学生さんと木を伐る活動をしました。地域の方には『そんなことをしても無理だろう』と言われていましたが、ポツポツと戻ってきたんですよ。」

ほとんどを福永さんはじめ、みんなでDIYでつくった「みどりの図書館」。
壁はなんと近くの山からとってきた赤土を使っているそう。

未来に、何を残し、何を作っていくか

「自分たちだけでやらない、たくさんの人に関わってもらうことが大事だと感じています。人間の時間軸と自然の時間軸では、圧倒的に自然の方が長いよね。どれだけ活動を長く続けられるか、学生さんなどの若い世代や研究者など、多様な方にかかわってもらうことで、ここの自然がもっと豊かになると信じています。」

みんなでススキを刈るエリア

スキー場が潤っていた時代は、草刈りなど維持する活動に人もお金もかけられたけれど、今はなかなか難しい状況になっているそう。

「ここを使う人が草を刈る、ゴミも気がついた人が拾う。コスタリカの支援を行っているときに、向こうでは地域全体がそこに住む人の庭、という感覚があるということを知りました。地域がここの場所を気にかけていますよ、という雰囲気作りが大事。」福永さんはそんな心がけをしながら、暮らしています。

「すぐにお金を生んでくれるスキー場やテニスコートと、お金を生まないけど大切な自然である草原や山野草。どちらも峰の原高原にはとても重要な資源。これから、あなたはどうしていきたいですか?」

自分で調べて、自分で考えてみる

「『自分で調べて、自分で考える』。私が植物のことをお伝えするとき、聞き手には常にそんなスタンスでいてほしいと思います。

長くNGOとして海外への支援を行っていますが、はじめの頃、大学の先生から『現地に行ってみたら』と誘われたことが、こんなに深くこの活動を行うきっかけになりました。支援は日本にいてもできることはあります。でも、えいや!と思い切って航空券を取り、実際に現地に行ってみて世界の見方ががらっと変わりました。」

「自然に対しても同じ。まだまだ人間にはわからないこともたくさん。そんな中で、誰かの話を鵜呑みにするのではなく、『自分で調べて、自分で考える』ことが実はとても大切です。」

「当時この活動はマスコミに取り上げられる機会が多く、”伝える”ことは、どんなに広い視野を持って発しても、あくまで”一人の視点”でしかない。そんなことを実感しました。こうした経験から、自然についてみなさんにお伝えする時も、常に『自分で調べて、自分で考える』ことを前提にしています。」

ペンション ふくながにはNGOの活動を通して出会ったクリエイターや研究者がたくさん訪れます。宿泊の際には、ぜひこうした方々の本を手に取ってみてください。

また、自然の調査やワーケーションで長期滞在する人も。ただの宿泊だけではない、多様な関わりがここにはあります。

「お食事も環境や健康にできるだけ配慮したお食事をお出ししてます。長期滞在の方やオフシーズンのときには、海外に旅をしたとき宿泊したホステルのシステムを参考にしてキッチンスペースでの自炊をお願いしています。これも自分が長くペンションを続けていくための工夫です。」

木の雰囲気がすてきな2階のキッチンスペース

自然の圧倒的な存在に向き合うとき、同時に、自分の存在の輪郭に気付かされます。福永さんのお話しから、自然を通して自分を見つめることの大切さに気がつきました。

日々の生活に追われていると見失いがちな”自分の軸”。忙しいからこそ、この軸を大切ですね。

ペンション ふくなが
〒386-2211 長野県須坂市峰の原 高原3153−50
電話: 0268-74-2729
http://www.tim.hi-ho.ne.jp/kfukunaga/

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