森をつくる

「森と草原のリトリート」の体験ツアー開催~須坂市保健補導員の皆さんと意見交換を行いました~

峰の原高原で活動している「Forest Field MINENOHARA(フォレストフィールド峰の原)」では、健康・教育・森づくり・森の恵みなど、主に4つのプロジェクトに分かれて、それぞれの分野に特化した取り組みを続けています。

そのうちの健康プロジェクトでは、峰の原高原の豊かな自然の恵みを生かした「森と草原のリトリート」プログラムを提供予定です。
プログラムでは、森林セラピーやクアオルト健康ウオーキング、アロマセラピーなどの理論を取り入れ、自然の中での心と身体の健康づくりを目指します。

2024年9月~10月には、「森と草原のリトリート」プログラムの案内人:ナビゲーターとして活躍してくださる方を募集し、ナビゲーター養成講座を開催しました。

森と草原のリトリート_ナビゲーター養成講座

>>ナビゲーター養成講座の開催報告はこちら!

ナビゲーター養成講座を修了した皆さんは、今後はプログラムの開催に向けて実地研修やモニターツアーを行い、来年度以降のプログラム提供につなげる予定です。

そこで、まずは須坂市民の皆さんに峰の原高原の自然を感じてもらう一歩として、須坂市の保健補導員の皆さんに「森と草原のリトリート」プログラムを体験していただくモニターツアーを開催しました!

まずは気軽に峰の原高原の自然を知ってもらうため、今回は森林セラピーの理論を取り入れた森林浴を体験していただきました。
どのようなプログラムだったのか、参加者の目線からレポートします。

【モニターツアー概要】
日時:2024年10月14日 9:30~13:00
内容:cafebar CHICHIPIに集合→森林セラピー体験→昼食・振り返り
人数:保健補導員さん6名+事務員さん1名
講師:河西 恒 氏(信濃町森林メディカルトレーナー/しなの町Woods-Life Community事務局)

 

オリエンテーション

峰の原高原のカフェ「cafebar CHICHIPI(カフェバル チチピ:以下チチピ)」に集まり、まずはモニターツアーの趣旨を説明。

保健補導員とは、地域の健康と福祉をサポートする専門家のこと。
市民の皆さんの健康に関する相談に対してアドバイスしたり、健康についての情報発信・ワークショップの開催などをしたり、さまざまな形で私たちの健康管理のサポートをしてくださる方々です。

そのため、森林と健康づくりの関係性に興味を持ってくださり、モニターツアーにも参加してくださいました。

スタッフ側の簡単な自己紹介のあと、まずはさっそく森の中へ行くことに。

 

森に心をひらく

最初に見つけたのはモミの一種。
手に取って香りを嗅いでみます。

いい香り?それとも苦手な香り?
一人一人感じ方が違います。

続いては他のモミ。
先ほどのモミと比べてどんな感じ?どっちが好み?

香りに触れた後は、足元にあるきのこに着目。
つついてみると、ぶわわっと粉のようなものが出てきました。

名前は「ホコリタケ」。
そう、まるでホコリが舞うかのように、黒い胞子が飛ぶのが特徴です。

身近な植物に触れ、最初は「ちゃんと歩かないといけないのかな…」と思っていた方も、少しずつ心が解けていくようでした。

 

身体をあたためる

続いては、森づくりプロジェクトで整備を行った「サンセットテラス横の園地」にてストレッチ
ヨガ講師の資格を持つ伊藤真弓さんがリードします。

朝の澄んだ空気の中で、思いっきり伸びたり、ゆったりと呼吸をしたり…
身体があたたまったら、園地を抜けて歩いていきます。

 

五感を使った森林浴

道中、イチイの実を発見。
赤くて少し粘り気のある木の実で、食べるとほんのり甘いのが特徴です。
※種には毒が含まれているので、噛まずに吐き出します。

ドイツトウヒの前では、日々の喧騒を忘れて深呼吸
目をつぶり、自分が今考えていることから、息を深く吸って吐き出すことに意識を向けます。

木々の中を抜けて見つけたのは、山ぶどう。
皆さん童心に帰って、その美味しさに舌鼓を打ちます。

さらに歩き続けると、スキー場のリフトがあった場所に出ました。
爽やかな草原の風景に、また気分も変わります。

途中、善光寺から現在の群馬県を通り、江戸までをつなぐ大笹街道と交差する場所も。
峰の原の住民であり、須坂市の地域おこし協力隊でもある野澤さんから、その歴史を説明してもらいます。

最後に、本日の目的地に到着。宇原川の源流の小川です。
森林セラピーにはさまざまな療法があり、その中に「水療法」があります。

自身の手や足を水につけることで、さまざまなよい効果が得られます。

10月中旬、気温は上がりつつも水温はかなり冷たいので、この日は手を浸してみることに。
最初は冷たいですが、水からあがってしばらく経つと、だんだん手がポカポカしてきます。

また、肘から先の部位を水に浸すと心肺機能の向上につながるなど、メリットがたくさんあるのです。

楽しみながら、いつの間にかさまざまな療法に触れられるのが森林セラピー体験の良いところですね。

 

森の中でのひとり時間

小川から折り返して、帰り道へ。
白樺林の中では、一人ひとり、静かに森の中で寝転ぶ時間を取ります。
ざわざわとそよぐ木々の音を聞いたり、ただただぼーっとしたり、森の香りを嗅いでみたり…過ごし方は自由です。

15分ほど一人で過ごす時間を取ったら、皆さんの表情がなんだかすっきり。
「もっといたい」「すごく気持ちよかった~」と素敵な感想をいただきました。

 

森林セラピー体験の感想

帰り道は思い思いにおしゃべりをしたり、峰の原の風景をそれぞれ眺めたりしながら歩きます。
行き道で嗅いだモミの香りも「帰りにはさらに強く感じるね」と発見も。

最後に、皆さんから森林セラピー体験の感想を教えていただきました。

「がっつり歩くのかと思っていたけど、程よい距離感で歩きやすく、植物の香りなども感じられて楽しかった」

「日々の仕事のことが忘れられなくて、つい頭に浮かんでいたけど、呼吸をするときに無心になれた。そこから今日のプログラムを楽しむモードに切り替えられた」

「普段の散歩道とは違い、針葉樹の香りや森の中の匂いに触れて、なんだかスッキリとした感じがする。呼吸もいつもよりしやすかった」

「2時間も歩くなんて長いなあ…と思っていたが、香りを嗅いだり、川で水に触れたり、水の音を聴いたり。普段五感を意識的に使うことが少なかったので、朝スタートしたときよりも五感が冴えた心地よい疲れを感じている」

プログラムの参加前には、たくさん歩くことや日々の仕事のことを考えて気持ちが億劫になっていた方も、実際に自然に触れながら森の中を歩き、五感をたっぷりと使ったことで、気持ちが前向きになったり、ほどよい疲労感を味わえたりしたようでした。

 

減塩で身体にやさしいランチ

適度な運動のあとは、皆さんお待ちかねのランチタイム。
地元の野菜をたっぷり使った減塩メニューチチピの増尾さんにご用意いただきました。

【メニュー】
・タンドリーチキン
・ドライカレーととうもろこしごはん
・白菜と干しえびのあっさりスープ
*食塩相当量 2.0g(一人あたり)

たくさん歩いた後の優しい味わいのご飯が、体に染みわたります…!
歩いた感想や、どんなところが楽しかった・新鮮だった、など、食事中の話も弾んだようです。

 

来年度に向けてできること

食後は、実際に保健補導員として活動されている皆さん目線で、具体的にどのような活動につなげられそうか、ご意見をいただきました。

・「峰の原高原=スキー・ペンション・テニス」のイメージだったので、緑豊かな場所だという認識がまずなかった。ペンションに泊まることもほぼないので、これまで行こうと思うこともなかった。
歩ける森があることがわかったので、今後は少人数で車を貸し切って、気軽にウオーキングできる場所として広まっていったらいいのでは?

・特にご年配の方は、毎日どんなことをして過ごそうか悩まれている方もいる。
そこで、例えば各季節に1回、計4回の年間プログラムを作って、四季を楽しめる体験をしてみると、続けて参加してもらえそう。

・企業の方や互助会に「森と草原のリトリート」のコンセプトを伝えて、興味がある方に体験してもらう。
菅平に行かなくても峰の原で自然体験ができる、ということを幅広く認知してもらうきっかけになると思う。

保育園の親子遠足などで菅平に行っていたが、峰の原も行き先としてよいのでは。

須坂市民の皆さんにどのように働きかけたらよいのか、具体的なアイデアや使ってみるとよい制度などもご紹介いただきました。

ご参加いただきました保健補導員の皆さま、本当にありがとうございました!

 

さいごに

ナビゲーター養成講座を終えて、受講生のメンバーは主に5つのジャンルに分かれて部会活動を行っています。

・森林浴(心の健康づくり)
・健康ウオーキング(身体の健康づくり)
・チームビルディング、組織開発
・アロマ、山野草
・森づくり(作業療法)

今回頂いたご意見をもとに、各部会のテーマに合わせて多様なプログラムを提供できるよう、メンバー同士でのガイド練習や勉強会を開催中です。

「森の中で、そして須坂にある峰の原高原で、健康づくりが気軽にできる」ということを多くの方に認知してもらえるよう、勉強と実践を積み重ねていきます。

・来年度以降のプログラムを体験したみたい方
・「こんなプログラムがあったらやってみたい!」という個人・団体・企業の皆さま

ぜひお気軽にお声がけください!

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