2024年7月20日(土)~21日(日)の2日間、峰の原高原の森林の恵みを活用していくための団体「Forest field MINENOHARA(フォレストフィールド峰の原:以下FFM)」主催で、「森と草原のリトリート」の体験会を行いました。
「森と草原のリトリート」
国立公園にも指定されている豊かな森林・草原や高地環境を活かして、心と身体の健康づくり・企業研修・ワーケーション等を行うプログラム。須坂市民やペンション宿泊者、企業向けに提供予定。
7月の体験会では、下記の5つのセッションに分かれて講師の先生方をお呼びしました。
① 峰の原を知る
② 森林セラピー体験
③ アロマ製作体験
④ クアオルト健康ウォーキング
⑤ 企業研修(チームビルディング)
そのなかで、興味のあるセッションにご参加いただき、
- 「峰の原高原でヘルスツーリズム事業を行うとしたらどのようなことができるのか」
- 「クアオルト健康ウオーキングや企業研修とは、具体的にどのようなことをやるのか」
などを、参加者の皆さんに体験していただきました。
本記事では、2日目:7/21(日)の様子をご紹介します。
>>1日目の様子もみる
《体験会の概要》
開催日:7/20(土)~21(日)
参加者数:10~17名(各セッションにより増減)
参加者さまの所属:森林セラピーガイド、カウンセラー、セラピスト、看護師などの有資格者の方々。
また、健康や自然に興味がある・学んでみたいとお考えの地域の方々…など
参加目的:自然の中での健康づくりを学びたい、非日常の環境で癒されたい、森林セラピーやクアオルトの理論を学びたい…など
④クアオルト健康ウオーキング
2日目の朝は、クアオルト健康ウオーキングからスタートです。
(株)日本クアオルト研究所 代表取締役社長の大城孝幸さんを講師としてお呼びし、クアオルトとは何か、ご説明いただきました。
クアオルト(Kurort)とはドイツ語で、クア(Kur)「治療・療養、保養のための滞在」とオルト(Ort)「場所・地域」という言葉が合わさった言葉で、「療養地」という意味になります。
このクアオルトは、国が認定した特別な地域(基本的には自治体)で、次の4つの療養要素で医療保険が適用される地域です。入院・通院様々ですが、最長3週間滞在して治療をします。現在は、治療客だけではなく、自費で健康づくりに活用する人が8割以上を占めており、その意味では、療養地というより健康保養地の性格が強くなっています。
ー日本クアオルト研究機構HPより
ドイツで行われている「気候性地形療法」をもとに、日本での健康づくりに活用する指導法として「クアオルト健康ウオーキング」が始まりました。
通常のウオーキングと違う点は、大きく以下の2つです。
❶目標心拍数を定める:160-年齢
❷体表面温度を2度低くする
心拍数「160―年齢」とは、そこまで激しくない・主観的に「ややきつい」と感じる程度。
運動負荷が期待される野山を”がんばらずに”歩くことで、運動によるリスクを抑えつつ、効果が得られます。
また、体表面温度が下がると、運動効果が元の気温に比べて倍近く得られることも報告されており、汗でじとじとするといった煩わしさもありません。
ウオーキングに出る前に、その日の自分の体調に問題はないかを記入し、現在の血圧・心拍数・体表温度を測ります。それぞれ目標心拍数を確認したら、自然の中へ。
歩く前はねじるストレッチ
この日歩いたのは「緋の滝(ひのたき)遊歩道」。
峰の原高原の観光名所のひとつである緋の滝へつながる道で、カラマツ・ミズナラ・ヨーロッパトウヒなど、峰の原高原ならではの樹木に囲まれたルートです(プログラム上、滝のそばまでは行かず、滝の音を聞きながら歩きました)。
途中途中、心拍数を確認します。目標心拍数に到達していない方は、ちょうどよい負荷をかけるために、歩きながらおしゃべりすると心拍数が上がります。
すでに目標心拍数に到達している方は、同じペースでがんばりすぎず、楽しく歩くことを心がけます。
ウオーキング後は、日本各地でどのようにクアオルト健康ウオーキングが広まっていったのか、他の自治体ではどのように取り入れているのかを学びました。
クアオルト健康ウオーキングを上手に日常生活に取り入れることで、生活習慣病や認知症が予防できたり、メンタルヘルスに良い影響を与えたりすることもわかっており、自治体主催の健康維持プログラムや、企業での福利厚生としても注目を集めているようです。
歩いた後は美味しいご飯
⑤企業研修
午後は企業研修プログラム。講師は、軽井沢のキャンプ場「ライジング・フィールド」代表取締役の森和成さんと渡辺亮さんです。
「自然の中での企業研修ってどんなことをするの?」と一番イメージがわきにくい分野かもしれません。
今回は主に3つのアクティビティを体験しました。
❶チームで課題解決
❷わかりやすく伝達するには
❸チーム対抗しっぽとりゲーム
❶チームで課題解決
事前に森さん達が会場の周りを調べ、「ミッション」を用意してくださいました。
「きのこを見つけよう」
「松ぼっくりを10個集めよう」
「サンセットテラスでチームメイトと写真を撮ろう」など複数のミッションが設定されています。
各チーム3~4名に分かれて、
「きのこはどの辺にあっただろうか?」
「サンセットテラスに行くなら、今いる場所からどういうルートでまわるのが効率良い?」
「今は疲れ気味だから、あまり走れなさそう…」など、相談しつつミッションにチャレンジ。
「きのこを見つけて写真を撮る」クリア
「サンセットテラスで全員の写真を撮る」クリア
講義会場に戻ってきたら、どれくらいミッションをクリアできたか振り返ります。
また、ミッションにばかり気を取られて、チームメイトへの気配りを忘れてもいけません。
しっかりとコミュニケーションが取れていたか。どんなところが楽しくて、反対にどんなところが大変だったか。お互いに意見を共有し合いました。
企業で取り入れる際は、「カフェでスイーツを食べて写真を撮ってくる」などのミッションを入れて楽しめる時間を取ったり、体力に自信がある人が多めに分担したり、などもされるのだとか。
また、ただミッションをたくさんクリアするだけがすべてではありません。
「今日は暑いから、1つだけクリアしたらOK」
「メンバーで意見を出し合うことを優先しよう」
などと、その日そのメンバーに合わせた目標を設定することも重要なのだと学びました。
❷わかりやすく伝達するには
続いては、草原の中へ。全員が目をつぶり、森さんが手を叩く音だけを頼りに森さんを探します。
地面に障害物がないか、近くにいる人とぶつからないか、全身に集中します。
それぞれが目をつぶって歩く体験をした後は、2人ペアになり、再度森さんが手を叩いている方角を目指します。
1人が目をつぶり、もう1人が誘導。最初は手や肩につかまるのもアリですが、途中から接触なしでやってみます。
手を叩いてリードする方や
1mほどの距離から声をかける方も
森さんのところにたどり着いたら、目をつぶっていた方は「あなたのこういう伝え方がとても良かった」「こういう伝え方だとよりわかりやすいかも」「目をつぶっていると不安だから、こんな情報が事前にあったら歩きやすかったな」など、良かった点やどんな気持ちだったのかをお互い共有し合います。
―普段、一緒に仕事をしているときに、上記のようなコミュニケーションが取れているでしょうか?
仕事環境から離れて、自然の中でこういったワークショップなどを取り入れると、普段話す機会のなかった上司や部下と打ち解けるきっかけになったり、相手の立場に立ってわかりやすく伝える練習になったりするのです。
❸チーム対抗しっぽとりゲーム
最後に、2つのチームに分かれてしっぽとりゲームです。
各チーム、アヒルを確認
それぞれの陣地には音の鳴るアヒルがあります。敵の陣地のアヒルを鳴らしたら勝ちです。
参加者はおしりにしっぽをつけ、アヒルを鳴らそうとする敵のしっぽを取って妨害します。
誰がまとめ役になるのか?
自分たちの陣地を守るにはどうすればいいか?
誰が・どこから・どういう作戦で敵を攻めるか?
などが試され、戦略がモノを言うゲームでした。
男子2人でアヒルを守ることにしたようです
あっという間に敵チームが…!
会社から離れて、自然環境の中で、仕事とは違うことに向き合ってみる。
そして楽しくアクティビティを体験する中で、コミュニケーションの大切さを学ぶ。
チームでおつかれさま!と反省会
森林セラピーやクアオルト健康ウオーキングなどで心と身体の健康づくりをしつつ、企業研修として普段の業務にも役立つ経験ができることを実感しました。
全体を通して
2日間、総勢25名の皆さまにご参加いただきました。
心と身体の健康づくりについて、体験を通して「こんな方法があるんだ!」「ぜひ今後もやってみたい」というありがたいご意見もいただきました。
同時に、今の峰の原高原で「森と草原のリトリート」プログラムを実施するには、課題も多くあります。
外からみた目線で良いところも
実際の体験から改善点も
今後、「森と草原のリトリート」のナビゲーター(プログラムの案内人)を養成していく上で、これらの課題とひとつひとつ向き合い、できる部分から取り組んでいきたいと思います。
また、「森と草原のリトリート」ナビゲーター養成講座は9/14~15、10/19~20の計4日間で開催予定です。
体験会にお越しくださった皆さまを含め、定員を超えてお申込みをいただいています。
>>ナビゲーター養成講座の詳細
ご参加いただく皆さまと、できることから健康づくりプログラムにチャレンジし、「自然×健康づくり」の取り組みを広めていきたいと思っています。
ナビゲーター養成講座の受講後、晴れてナビゲーターとなった方々には、モニターツアーなどで経験を積み、地域の皆さまにも参加しやすいプログラムづくりを進めていきます。
地域や家族での健康づくり、企業内での研修プログラム等を峰の原高原で体験してみたい・モニターツアーを受けてみたいとお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
主催:信州・峰の原高原 森林サービス産業推進協議会
問合先:信州・峰の原高原 森林サービス産業推進協議会 事務局
E-mail: info@forest-field.net