2025/2/23(日)~24(月祝)の2日間、「森と草原のリトリート研究会」のメンバー10名で、群馬県みなかみ町と新潟県十日町に視察研修へ行ってきました。
【メインの目的】
・森づくりを組み込んだリトリートプログラムのあり方
・コーチング視点でのリトリートプログラムのあり方
・冬の地域資源を活用したリトリートプログラムのあり方…を学ぶ
⇒峰の原高原の「森と草原のリトリート」のプログラム開発に繋げる
2024年秋から回を重ねて開催されてきた「ナビゲーター養成講座」は峰の原高原の現地で行われてきましたが、2025年の年明けからは外部に出向いての研修と視察が実施され、実際のプログラム開発に繋がってきています。
今回の視察研修から1ヶ月後の3月下旬には、雪の残る峰の原の現地で、初めて参加者様に対してモニターツアーを実施することになっています。
みなかみ町と十日町の「雪国リトリート」は、積雪の多い峰の原高原にとって参考になる点も多く、充実した視察になりました。
群馬県みなかみ町で、リトリート・コーチング・里山再生を行っている「Tomaru(とまる)」の柳沼翔子さんと井上昌樹さんにコーディネートしていただき、1日目はみなかみ町にて「Tomaruリトリート」、2日目は十日町にて「雪国リトリート」を体験しました。
リトリートとは、語源の退去・撤退・隠れ家などから派生したことばで、日常から離れて心身をリセットし癒す時間・過ごし方のことを言います。
Tomaruのリトリートでは、住み慣れた土地を離れて、自然の中で五感や身体感覚をめいいっぱいに使い、大切な気づきや思いを「言葉」にして持ち帰ってもらいます。
Tomaru HPより
1日目「Tomaruリトリート」in 群馬県みなかみ町
◆ランチ&スノーシュー体験

大雪の影響による渋滞をなんとかくぐり抜け、豪雪のみなかみ町に到着した後、まずは「SUMIKA living(スミカリビング)」さんで昼食をいただきました。
玄米ご飯と2021年ものの自家製味噌のお味噌汁、手の込んだ副菜の品々が心を和ませてくれました。
柳沼さんと井上さんのリトリートでは、導入の部分で自分自身への「問い」を見出し、その後、思考から離れて無心になるため、そして自分への問いの答えのヒントを受け取るために森に出かけます。
ここでの「問い」とは、『自分と向き合い、内省するための大きなテーマ』と私は理解しました。
今回は時間の都合上、あらかじめ設定された問いをいただいて森へ。
私が与えられた「問い」は、「私の思い込みとは何か?」でした。

問いを意識しながら、すっきりと晴れた空の青さと、雪原の白のコントラストの世界の中をスノーシューで歩きました。

無心になって歩くため、どうしても下を見がち。
しかし、目線を上げると先には森が、緩やかに上ってきた眼下を見下ろすと利根川と赤城山が望め、心は自然に解放されました。
◆林業体験

森の中では、林業を生業とされている北山さんから森づくりについてレクチャーを受け、その後林業体験をさせていただきました。
ノコギリの引き方を習い、一人一人が実際に体験。

北山さんが一本のヒノキをチェーンソーで伐採し、その倒れてくる木を全員でロープで引きました。
ヒノキの丸太はお土産です。
森からの帰り道は自分だけの時間「ソロタイム」となり、自分自身への「問い」に向き合いながら森を下り、宿泊先の「さなざわテラス」へと移動しました。
到着後の追加説明・質疑応答~夕食~交流会まで、終始柳沼さんと井上さんはじっくり私達に向き合い、お付き合いいただきました。
コーチングの高いスキルをお持ちのお二方と話していると、自分の中のものが自然に引き出されるような不思議な感覚になりました。
2日目「雪国リトリート」in 新潟県十日町
◆プログラム創出の経験談
2日目はみなかみ町から新潟県十日町へ、圧倒される雪の壁の中を進み、2日目の体験の拠点「雪ふる食堂」へ到着。
実際の雪国リトリートプログラムを考案&運営なさっている地元の大勢の皆さんから、創生期から現在までの様々な経験談を聞かせていただきました。
これから実際にプログラムを作っていく私たちも通っていくであろうその経験談は特に身近に感じられ、ありのままをお伝えくださったことをとてもありがたく思いました。
◆雪国ならではのプログラム

実際のプログラム体験では、
1. 雪の壁を登る
2. 怖い雪だるまを作る
をお題に、子供の頃のように夢中になって壁をよじ登り、無心になって怖い雪だるまを作りました。

他のチームがどんな雪だるまを作っているか・どんなに雪が降っているかなど全く気にならず。

思い切り遊んだ後の対話の時間では「遊ぶってどんなこと?」という全員で共通の問いに対して意見を交わしました。
柳沼さんと井上さんのTomaru リトリートを含む「雪国リトリート」は対話の時間を重要視し、参加者の気付きや感性を大切にしていると感じました。
体験を終えて
大自然に身を委ね、五感が開かれた状態での気付きを得るプログラムの流れは、季節が変わっても場所が変わっても、自然の中で行うリトリートには共通するところであると思います。
ですが、雪国リトリートの大きな特徴は「問い」にあり、その「問い」があるからこそ、気付きとして得るものも大きいのではと思いました。

みなかみ町の皆さんも、十日町の皆さんも、その土地と自然を愛する気持ちが強く、その気持ちから生まれたリトリートプログラムは、自然とつながり人間も自然の一部だと感じられるような内容のものでした。
私たち「森と草原のリトリート研究会」のメンバーも同じように、峰の原高原が好きで、峰の原高原に大きな可能性を感じ、情熱を持ってプログラム作りに取り組んでいます。
今回、森づくりの視点・コーチングの視点・冬の地域資源を活用したリトリートの視点から得た要素を具体的にプログラムに反映させ、春の訪れと共に峰の原高原の現地での実習を拡大していきたい、と私たちのプログラム作りへの思いにもより一層の力が入りました。
今回私たちの視察研修でご指導くださった皆さま、ご一緒してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
皆さまにも近い将来、私たちの「森と草原のリトリート」プログラムを自信を持って公開したいと思います。

レポートを対応したナビゲーター:田口 理恵
2024年の夏に峰の原高原『森と草原のリトリート』に出会い、近い将来、峰の原高原をベースに森林浴をガイドするガイドになりたいと思っています。長野市生まれで、現在も長野市在住。季節の移ろいと共にある暮らしが好きです。