峰の原高原の森林の恵みを活用していくための団体「Forest field MINENOHARA(フォレストフィールド峰の原)」では、森林の恵みを活用して健康づくりを促進する「森と草原のリトリート」の提供を予定しています。
「森と草原のリトリート」では、峰の原高原の自然環境を生かし、森林の中で五感を取り戻す森林セラピー体験や、適度な心拍数を保ちながら運動する健康ウオーキングなどを実施することで、病気になる前に自らの健康状態と向き合う”未病”の段階でのプログラムを検討中です。
そこで、「森と草原のリトリート」の案内人:ナビゲーターとして活躍したい方を募集し、2024年9月~10月にかけて養成講座を開催しました。
本記事では、ナビゲーター養成講座3日目にフォーカスし、どのようなことを学んだのか、そしてこれからどのようなプログラムを提供していくかのアイデアをご紹介します。
「森と草原のリトリート」ナビゲーター養成講座
開催日:9/14(土)~15(日)、10/19(土)~20(日) の4日間
場所:峰の原高原のペンション「時空の杜」
参加者:ナビゲーター希望者17名
講座詳細:https://forest-field.net/forest_field_lab/2024_health_02/
ナビゲーター養成講座3日目 (10/19)
◆企業研修(チームビルディング)~実習~
「チームビルディングのプログラムデザインと指導法」
講師:森 和成氏、渡邊 亮氏
(ライジング・フィールド 代表取締役、プロジェクトアドベンチャー協会 理事、軽井沢観光協会 副会長)
養成講座3日目のスタートはチームビルディングの実習から。
軽井沢のキャンプ場で企業研修プログラムを多く提供している、ライジングフィールドの森さんと渡邊さんが、当日の状況に合わせてチームビルディングのお題を作ってくれました。
それは「各チームで火を起こして、1.5mの高さにある麻ひもを焼き切れるか」。
その場で5名ほどの即席チームを作ると、マッチが渡されます。
「使いたいだけ使っていいよ」と渡された箱の中には3本しか入っていない…!
たき火を起こして、麻ひもを燃やす…。
ただそれだけを言い渡され、各チームがとりあえず動き出します。
・たき火の材料になる木々を集めに行くチーム
・どんな枝が必要かを話し合うチーム
・役割分担から始めるチーム
など、各チームそれぞれ動き出しが違うようです。
制限時間は約2時間。
少しずつ、たき火の原型が出来上がってきます。
1時間30分ほど経った頃、たき火経験のあるメンバーがいるAチームが挑戦!
マッチで火をつけると、少しずつ上まで火が燃え上がります。
…が、麻ひもを燃やして切るには燃料が足りず、麻ひもが切れるより前に、上の方の枝がすべて燃え切ってしまいました。
続いて手を挙げたのはCチーム。
Cチームは発想の転換がうまく、たき火の上部に直接火を点ける方法を提案しました。
下から点火できないという致命的なミス
しかし、残念ながら地面から火を点けるのがルール。
森さんのやさしさで、やってみたらどうなるか、チャレンジすることに。
…火は勢いよく燃え、麻ひもに届きました!
落ち葉や枯れ草があと少しでなくなる、というタイミングで麻ひもがプツン!
たき火の上部でどれくらいの燃料が必要なのか、他のチームにも参考になったようです。
お次はしっかりと下から木々をくみ上げたBチーム。
火は順調に燃え上がり、熱いくらいに燃え広がります。
…麻ひもにも火の手は迫りますが、木々が燃えていく段階で少しずつたき火が傾き、同じ場所に安定して火があたりません。
風も強く吹き続け、メンバーが壁を作りますが調整がうまくいかず、燃え尽きてしまいました。
最後は、念入りにたき火を組んだDチーム。
太い枝をしっかり用意しており、期待大!
…火はしっかりと点いたのですが、中間地点の燃料が足りず、麻ひもに火が少しずつしか届きませんでした。
ということで、各チーム麻ひもを切ることはできず…。
その原因は、燃料不足です。
麻ひもを切るには、火がごうごうと燃え続けなければなりません。
そしてそのためには、たき火に使う枝はギュっと密集させ、麻ひもに近い上部にも落ち葉をたっぷり使う必要があったのです。
亮さんからたき火に適した枝の大きさを学ぶ
また、皆さん枝を集める際は地面に落ちているものを探していましたが、よく燃えるのは木々の上で乾燥している枝。
たき火ひとつとっても、着目すべきポイントが複数あることを教わり、再度材料集めに向かいます。
4つあったチームは2つに合体し、手元に残った材料を組み合わせ再挑戦することに。
教わった通り、木をしっかりと密集させ、麻ひもに届く高さにします。
さらに、麻ひもが切れるまで燃え続けられるよう、たき火上部にも木々や葉っぱをぎゅうぎゅうに詰め込みます。
それぞれ、自信のあるたき火が完成。
いざ火をつけてみましょう。
4チームに分かれて挑戦した時よりも火の勢いは強く、しっかりと上まで火が上がりました!
最初よりも火が勢いよく燃え上がっているのがわかります
また、麻ひもに届く高さまで火が上がったあとも、火は弱まることなく燃え続け、ついに麻ひもを切ることに成功!
思わずハイタッチで喜ぶメンバー
皆さんの顔には、達成感と喜び溢れる表情が浮かんでいました。
森さんからは、各チームの良かった点・あと一歩だった点のフィードバックがあり、それを踏まえて各チームでどんなところがよかったか振り返り。
また、今回のたき火ミッションに対して、自分はどう動こうと思っていたのか(リーダーとして?チームを支える縁の下の力持ちとして?)をおのおの考えつつ、昼食の時間となりました。
◆企業研修(チームビルディング)~講義~
「体験学習法を活かしたチームビルディング・コーチング技術」
講師:森 和成氏
昼食後は、再度チームに分かれて、たき火ミッションの振り返り。
森さんからは、チームビルディングをする上で以下のようなポイントがあったかどうかを聞かれました。
・動き出す前に役割分担をしたか(リーダーをやりたいorやってほしい、自分は支えるメンバーとして頑張ろう等)
・麻ひもを切る以外の目標設定をしたか(どこのチームよりも早く切ろう、高く火を上げよう、楽しく達成することをミッションにしよう等)
・時間内に他のメンバーに声かけができていたか(どんなことを楽しんでいる?辛そうにしている?等)
即席チームだったこともあり、どのチームもなんとなく動き出してしまったところがありました。
そんな中でも、たき火が得意な人がリーダー(のような役割)になったり、「こんな枝を集めよう」と声かけをしたり、良かった点も。
森さんが設定した目標に対して、ただ何となく動くのではなく、「自分たちのチームはどうする?何をする?」という意識づけが必要だったのです。
これは、普段の仕事にも当てはまります。
上司や会社が設定した課題に対し、「言われたからやる」だけで、何となく対応していないか。
取り組む前に目標や頑張りたい点を決めているか。
たき火を起こすことで、楽しみながらチームビルディングの大切さや面白さに気付けるワークショップだったことがじわじわと実感でき、受講生も考えさせられていました。
講義の後半では、企業研修プログラムを提供する上で意識しなければならないことを学びました。
チームビルディングにおいて大切なのは「目的」。
企業であれば、その企業の目的は何なのか(=会社として成し遂げたいことは何か)を理解し、それに合った研修プログラムを検討する必要があります。
会社やチームの目的を認識していないと、企業研修をやっても学びがないまま終わってしまいがちです。
・目的を意識してもらうために理解すべきこと
・企業研修プログラムの体験を単なる「楽しかった」「大変だった」で終わらせないために、腹落ちさせる方法
・プログラムに積極的に参加してもらうために、ファシリテーターとして意識すること
研修プログラムを提供する側がこれらのポイントをしっかりと押さえ、能動的な学びになるように導くことが大切なのですね。
講座中は、やまぼうし自然学校のベジさんが子どもたちと過ごしてくださいました
雨のときには車のレースコースづくりも!楽しんでくれたようです
◆アロマセラピー ~講義~
「アロマセラピー・フィトセラピー概論」
講師:橋詰 凌氏
(Hippocampus 代表/NARD JAPAN 認定アロマアドバイザー/アロマ空間デザイナー・コーディネーター)
夕食の後は、アロマセラピーの講義とアロマブレンドの体験です。
今回用意してくださった精油は11種類で、そのほとんどが長野県産の精油。
地元の間伐材を中心に、橋詰さん達が蒸留しているものもあります。
ペパーミント、アオシソ、ラベンダー、オレンジ、ヒノキ木部、ヒノキ枝部、レモン、レモングラス、ヒバ、ゼラニウム、モミ
それぞれ、リフレッシュ効果、抗ストレス効果、高揚効果…など、植物によって特徴が異なります。
香りの好みだけではなく、効果から選びます
今回は、自分がどんな時にブレンドオイルを使いたいか、使用シーンを設定し、それに合わせた効能を持つ精油をブレンドしました。
もちろん香りの好みも反映させて…
効能から使いたい植物を決め、その中でも好きな香りのものを選んだら、いよいよブレンド。
合わせて15滴になるよう、メインの香りを多めに計算し、ビーカーで混ぜていきます。
精油の種類は、3~4種類におさめるとよいのだそうです。
納得のいく香りになったら、容器に入れて完成!
精製エタノールと混ぜれば、ルームミストとして手軽に使えるスプレーに。
他のメンバーのブレンドスプレーも比べてみると、ひとつひとつ全く違う香りがします。
お子様も一緒に参加できるので、今後のプログラムとしても取り入れやすいですね。
また、例えば同じヒノキの精油でも、産地によって香りに違いが出ます。
今後は峰の原高原の植物で精油の蒸留を行い、峰の原高原だからこそできるアロマのワークショップなどを提供していけたら、と考えています。
>>4日目:10/20のレポートへ続く