シナノキについて
概要
日本特産種で、北海道から九州までの各地で見られ、ブナ、ミズナラ、カツラ、カエデ等と混成し分布する。
古名の「信濃」は、古くは「科野」と記したが、シナノキを多く産出したからだともいわれている。
高さは20メートル以上、幹の直径は1メートルになる。
枝もよく茂り、楕円形の端。耐寒性が強く、暑さに多少弱い。
関東以北や高冷地の並木や、街路樹としてよく植栽されている。
樹皮は暗褐色で表面は薄い鱗片状で縦に浅く裂けやすい。
葉は互生し、長さ6~9センチ、幅5~6センチで先のとがった左右非対称の心型で周囲には鋸状歯があり、秋には黄色に紅葉する。
花は、6~7月ころに集散花序で花柄が分枝して下に垂れ下がる淡黄色の小さな花をつける。
花序の柄には苞葉をつける。
果実はほぼ球形で、秋になって熟すと花序とともに落ちる。
歴史・文化的な特徴
欧米では「リンデン」と呼ばれ、街路樹として親しまれているボダイジュ(西洋科樹)の親類で、どちらも公園や広場などでよく見られる。
北海道にかなり多い樹である。
樹皮(内皮)は「シナ皮」とよばれ、繊維が強くねばりがあるので主にロープの材料、麻布の代用品とされてきた。
近年合成繊維のロープが普及したため、あまり使われなくなった。
1990年代頃から、地球環境を見直す意味で麻などと共にロープなどへの利用が見直されている。
木の皮の繊維でアイヌは衣類など織物を作ったとされる。
木材としては軽く、ツメを立てると型がつくほど軟らかく加工しやすいが、耐久性に劣る。
一番の用途は、シナベニヤと呼ばれる広葉樹合板用材として、建築などで使用。
その他割り箸、マッチの軸、鉛筆材、アイスクリームのへら、木彫りの民芸品などに利用されている。また、花からは良質の蜜が採取できる。
科属名 | アオイ科 |
分類 | 落葉高木 |
峰の原 分布 |
テニスコート横の道路沿い |
樹皮 | 帯灰褐色で縦に裂ける。若木と成木、老木とで樹皮の様子が異なる。 |
葉 (新緑) |
色鮮やかリンデングリーンが目をひく。 芽吹の時期に基部にある薄桃色の総苞葉が目立つ。 ハート型の葉で、葉柄が長い。 |
葉 (黄葉) |
黄色く色づく |
花 | 花は直径1センチ程度で、クリーム色をした細長い花弁がある。 基部には新芽と同じようなプロペラ状の「総苞葉」が特徴的。 葉の脇から伸びた花序で10輪ほどがまとまって垂れ下がる。 果実が熟すと、総苞葉がプロペラの役割をして種を遠くへ運ぶ。くるくる舞う姿はバレリーナの様。 |
実 | 総苞葉が特徴的な形 |
冬 (冬芽) |
赤い芽、鱗芽 |
五感でたのしむ
《嗜む》
茶・薬(葉・花等) | はちみつ | 5~7月 |
《遊ぶ》
野遊び (花・実・枝葉等) | 花を飛ばして遊ぶ | 9月頃 |
クラフト (樹皮・幹等) | 縄、糸 | 春から秋 |
《暮らす》
建材(幹等) | ホールの木材 | — |
小物・工芸品 (樹皮・幹等) | しな織 | — |