シラカンバについて
概要
森が開かれた際、最初に侵入する先駆樹種のひとつ。成長が早く寿命が短い。
「べチュリン」という有機化合物が含まれており、手でこすると白く付く。
成長が旺盛なシラカンバは白く美しいが、樹齢が60年を過ぎると桃色味を帯びる。
べチュリンには抗菌作用もあり、樹皮には防腐作用もある。
マイクロプラスチックで問題になっている石油資源依存からの脱却素材、バイオポリエステル開発の素材として注目されているそう。
枯れて倒れたシラカンバを森でよく見かけるが、幹はすでに朽ちて柔らかくなっていても、白い樹皮だけはしっかりと朽ちた木を覆っていて、外樹皮に豊富に存在し過酷な環境から守る役割を担っている。
歴史・文化的な特徴
幹は白いが、枝は茶色い。
樹皮は燃えやすく、着火剤としても使う。
信州の中信地区ではお盆の迎え火にシラカンバの皮を使う。
科属名 | カバノキ科 |
分類 | 落葉高木 |
峰の原 分布 |
全域 |
樹皮 | 白色で、薄紙状によく剥げる |
葉 (新緑) |
蛍光色の黄緑色が春の芽吹前の茶色い山では目をひく。 春一番に他の樹種よりも先に雄花を開花させる。 この花粉が世界的には花粉アレルギーの一大原因となっている。 自家受粉を避けるために雄花の開花後、雌花が開花する。 |
葉 (黄葉) |
根子岳・四阿山一帯はシラカンバ・ダケカンバが多いため、綺麗に黄葉した年は山全体が黄色く輝く。 黄色い黄葉で、フィンランドでは「ルスカ」と呼ばれている。 |
花 | 4月終盤、枝先から垂れるように雄花から開花する。 |
実 | 蝶のような種がなり、10月に飛散する。 種子数は100gあたり約34万粒。 |
冬 (冬芽) |
葉が落ちると樹皮の”への字”模様が目をひく。 |
五感でたのしむ
《嗜む》
ジャム・シロップ(実・樹液等) | シロップ | 3~4月 |
《癒す・触れる・聴く》
整う等(葉等) | サウナのヴィヒタ | 5月~落葉前まで |
《遊ぶ》
クラフト (樹皮・幹等) | カゴ、オーナメント | 6~8月 |
《賑わう》
菌類・コケ類 | ベニテングダケ 部位:木の幹 |
8~10月 |
日常生活での活用方法
五感で愉しむための活用方法の詳細を解説します。
シロップ
春先に樹液を採集する。
樹液にはアミノ酸のほか、多くのミネラルが含まれており、美容や健康に効果的とされている。
免疫力を高め、老廃物を体外に排出するデトックス効果や抗酸化作用があると言われる。
虫歯予防効果があるといわれるキシリトールの原料でもある。
整う
サウナで使用するビィヒタとして使用。
血行促進、殺菌・保湿作用により、肌の引き締めやハリを保ち、しなやかなボディをつくるといわれている。
精油の爽やかな芳香は、浴室にいながら森林浴のような寛ぎをもたらしてくれる。
クラフト
主に樹皮を使ってカゴやオーナメントにする。
北海道の白樺細工が有名だか、白樺湖でも信州白樺クラフト製作所がシラカンバにまつわるあれこれを展開している。
菌類
白雪姫など、ヨーロッパの絵本ではお馴染みのベニテングタケはシラカンバの菌根菌。
菅平では古くから食用とする習慣がある。
揮発した毒でハエが死ぬことから「ハエトリ」の別名もある。
以前東京農大の教授がベニテングタケを食用している地域があり、毒成分が異なるのではというアメリカの論文を見つけ、調査に訪れた。
カバノアナタケはシラカンバのウロに発生する木材腐朽菌。
煎じて健康茶として飲用される。