人と自然が共に育んできた高原の物語

長野県須坂市の山あい、標高1,500メートル前後に広がる峰の原高原は、四季折々の表情を見せる静かな高原地帯です。

派手な観光地ではありませんが、ここには人の手と自然が長い時間をかけて共存してきた、奥深い魅力があります。

開拓から始まった峰の原高原の歴史

峰の原高原が現在のような人の営みを持つ土地になったのは、比較的近代になってからのことです。もともとは放牧や採草地として利用される山林が広がり、冬は深い雪に閉ざされる厳しい自然環境でした。

戦後、須坂市を中心とした地域の人々によって徐々に開拓が進み、ペンションの建設ラッシュが始まり、観光利用が始まります。

冷涼な気候と豊かな自然は、都市部では得られない価値として注目されるようになりました。

1970年代以降、峰の原高原は「避暑地」「合宿地」として知られるようになり、学生のスポーツ合宿や音楽合宿、長期滞在型の休暇を楽しむ人々が訪れる場所へと変化していきます。

過度な開発を避けながら、自然と共存する形で利用されてきたことが、現在の穏やかな景観を支えています。

四季がはっきりと息づく自然環境

峰の原高原の最大の特徴は、標高の高さがもたらす冷涼な気候です。

春は残雪と芽吹きが同時に訪れ、山野草が静かに顔を出します。

夏は白樺やカラマツ林が深い緑に包まれ、爽やかな風が高原を吹き抜けます。朝晩は涼しく、エアコンに頼らず過ごせる日が多くあります。空気は澄み、夜には満天の星が広がります。

秋になると一気に色づき、黄金色の草原と紅葉が織りなす景色は、短い期間だけの贅沢な表情です。

そして冬は一面の雪景色。静寂に包まれた高原は、時間の流れさえもゆっくりと感じさせます。

野生動物や多様な植物が今も身近に存在しているのは、人の暮らしが自然のリズムを大きく乱さずに続いてきた証でもあります。

ペンション文化が育んだ「滞在する高原」

峰の原高原を語るうえで欠かせないのが、ペンション文化です。1970年後半から1980年代にかけて、多くのペンションがこの地に誕生しました。

都市部から移り住んだオーナーたちは、それぞれの価値観や暮らし方を反映した宿をつくり、訪れる人々を温かく迎えてきました。

峰の原高原のペンションは、単なる宿泊施設ではありません。食事に地元食材を取り入れたり、自然体験やものづくり、音楽やスポーツと結びついた滞在を提案したりと、「ここで過ごす時間そのもの」を大切にしてきました。

こうした文化が根付いたことで、峰の原高原は「観光する場所」ではなく、「滞在し、暮らしに触れる場所」として多くの人に親しまれています。

いま、そしてこれからの峰の原高原

近年、峰の原高原には再び注目が集まっています。大量消費やスピードを求める暮らしから距離を置き、自然の中で心身を整えたいと考える人が増えているからです。

ワーケーションや長期滞在、地域と関わる体験型の滞在など、新しい使われ方も少しずつ生まれています。

峰の原高原は、特別な何かを誇示する場所ではありません。しかし、静かな自然、積み重ねられてきた暮らしの知恵、人と人との距離感――それらが調和したこの高原には、訪れる人それぞれが自分なりの価値を見つけられる余白があります。

Forest Field MINENOHARAは、この峰の原高原の自然と歴史、人の営みを大切にしながら、訪れる方が「また帰ってきたい」と思える時間を提供していきます。

ここで過ごすひとときが、日常を見つめ直すきっかけとなれば幸いです。