森を活かす

【第2回②】森と健康ラボ:鹿教湯温泉の健康ウオーキングの活動例を学ぶ

今回は、【第2回】健康ウオーキング編のラボの後半の様子をお伝えします。
「①ドイツのクアオルト健康ウオーキングを体験!」はコチラ

ラボの概要~鹿教湯温泉の健康ウオーキングの活動例を学ぶ~

上田市の鹿教湯温泉で「ポールウオーキング」を実践している井出さんを招き、地域密着型の健康ウオーキングの活動例を詳しく教えていただきました。

講師:井出 翔太 氏(日本健康運動指導士会 長野県支部理事、健康運動指導士)

長野県上田市鹿教湯温泉の斎藤ホテルに勤務し、宿泊客の健康づくりのプログラム開発・実践に携わる。長野県観光機構をはじめとした地域や行政、医療機関などの多職種と連携し、温泉や自然などを生かした地域密着の「健康の里」づくりに取り組む。

日時2023年12月11日(月)13:30~17:30
※夕食・交流会[希望者]:18:30~20:30
会場集合場所:Cafebar CHICHIPI (長野県須坂市峰の原高原3153-590)
夕食・交流会:ペンション ハーフトーン (長野県須坂市仁礼峰の原3153-597)

鹿教湯温泉「斎藤ホテル」での取り組み

上田市南方にある鹿教湯(かけゆ)温泉。その昔、鹿に化けた菩薩様が温泉のある場所を教えてくれたことから、その名前が付けられました。泉質は単純温泉で、無色透明でクセのない柔らかいお湯だそう。帰り道では杖が不要になる「杖要らずの湯」とも呼ばれており、神経痛・関節痛・リウマチなどで悩んでいる方も多く訪れるのだとか。

鹿教湯温泉には約20軒の旅館・ホテルがあり、多くのお客様が湯治のために訪れています。なかでも、400年以上継承されてきた「斎藤旅館」を前身に持つ「斎藤ホテル」では、偶数階は宿泊者用エリア、奇数階は住居エリアに分かれている特殊な形態で、地域密着型のサービスを提供。

ホテル1階にはジムがあり、健康維持や体づくりのプログラムも実施。井出さんも健康運動指導士として、さまざまな運動・筋トレの指導や、その方にあった体力づくりの指導などを行ってきました。

長期滞在のお客様・リピーターのお客様・地元住民の方に向けて、健康づくりのために日頃から取り組めることはないだろうか。井出さんが着目したのは「ヘルスプロモーション」でした。

ヘルスプロモーションから考える健康づくり

「ヘルスプロモーション」とは、WHO(世界保健機関)が提唱する健康戦略のひとつです。
習慣や環境を整えることで、健康生活を生み出すことを指します。

・アメリカ製:健康生活の習慣づくり
→ライフスタイルに運動などを取り入れることで、自分の体力をアップさせ、健康を目指す

・ヨーロッパ製:健康生活の環境づくり
→運動を行う環境を整えることで、ゆるやかに健康づくりを行う

井出さんが取り入れたのはヨーロッパ製の考え方。
ジムでの指導を活用し、運動を行う環境づくりのため、井出さんはさまざまなチャレンジをしてきました。

・リピーター様にDM(ダイレクトメール)を送り、運動プログラムをアピール
・運動指導だけではなく、ストレッチや日々の姿勢の保ち方なども指導
・歩く際にひざに負担がかからないよう、ポールを使ったウオーキングを指導

なかでもポールウオーキングは、ポールを準備するだけで簡単に日々の生活に取り入れられ、鹿教湯温泉での健康ウォーキングにぴったりとはまったそうです。

ポールウオーキングのイベント&デジタルスタンプラリーを開催

「年齢が上がると足腰への負担が高くなり、自分の力で健康的に歩き続けることが難しいのでは?」と思った井出さんは、ポールウオーキングのイベントを開催。ポールを使ってウオーキングをすると、普通に歩くよりも、ひざや足への負担を軽減できるのだそうです。

おじいちゃん・おばあちゃんが杖をついて歩いて行って、温泉から帰ってきたときには杖がいらない、と言われているほど、湯治として有名な鹿教湯温泉。その云われにちなんで、ポールを使いながら歩くスタイルを指導。地域の方にもポールウオーキングをすすめ、地域全体で運動に取り組みました。

さらに、鹿教湯温泉の周辺のお土産屋さんや日帰り入浴施設とも提携し、デジタルスタンプラリーを開催。ウオーキングを楽しみながら、地域のお店に立ち寄ってもらう・宿以外でも地域の中で利益を生み出すことに成功しました。

今では健康に興味のあるお客様がよく来てくれるようになったり、鹿教湯温泉を拠点としてくれたりなど、ポールウオーキングや健康指導から興味を持ってくれる方も増えたそうです。

まとめ:他地域を参考に峰の原高原の健康プログラムを考える

クアオルト健康ウオーキング・鹿教湯温泉での健康プログラムの事例を聞き、峰の原高原に置き換えたら何ができるのだろう?と各々が考えました。

現在、峰の原高原で収益化ができるのはペンションでの宿泊がほとんど。宿泊を伴わない観光のみ(根子岳の登山やスノーシューツアーなど)では集客ができていないのが現状です。

・クアオルト健康ウオーキングを実施するには、ガイド養成やコースの申請をどのようにすればいいのか
・須坂市民に足を運んでもらうにはどのような周知が必要か
・峰の原高原内でスタンプラリーをするには、どこを立ち寄り箇所に設定すればよいのか?
 お土産屋さんやカフェなどがないため、立ち寄ってもらっても収益化は難しいのでは…
・斎藤ホテルでは宿泊者へのDMが有効だが、峰の原ではどうなのか
・ペンションごとに常連のお客様がいる中で、どのように健康プログラムを提供すべきか
・オーナーがペンション経営で忙しい中、人材をどのように確保するのか
・ポールウオーキングのようなイベントを開催する場合、どのくらいの頻度がよいのか 

など…

「他の地域や、鹿教湯温泉ではこうだった」という話でも、峰の原高原に置き換えた場合はどうなるか、これから検討していく必要がありますが、具体的な実現例をお聞きし、少しずつアイデアが集まりました。


Forest field MINENONARAでは、今後、峰の原高原内での産業・雇用の創出を目指し、健康プログラムづくりに取り組んでいきます。

一緒に活動していきたい方、峰の原高原での健康プログラムに参加してみたい方、ご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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